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2018年12月 1日 (土)

H30 流域プロジェクト 第3回(通算第10回) 小網代の森

実施日: 平成30年11月15日(木)
会場: 三浦市 三崎町小網代
講師:NPO法人 小網代野外活動調整会議 所属ガイド
テーマ:源流から生態系が途切れずに海まで連なる流域を, 木道を歩き景観を楽しむ
参加者: 会員9名+事務局1名
 

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いくつかの谷の小川は浦の川に合流し, 小網代湾の河口干潟に注ぎ, 相模湾へと繋がります。源流から海まで生態系が途切れずに連なる流域は, 関東地方では唯一。各小川が浦の川と合流する毎に変化する風景を観ます。ガイドさんは小網代の森の保全活動の, 初期の地道な調査/構想段階から現在の回復作業まで30年以上も参画しておられるベテラン女性。5か所の合流個所で変化する景色の御説明を頂けます。注意と体操後, 出発。
 

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総計130段以上もある下り階段には, 数段下る毎に踊り場があり, ゆっくり谷底へ。
 





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クサギが, 深いエンジ色の実を一杯に実らせており, 秋。クサギの草木染の解説の時, 参加者の一人が着けている絹のスカーフの水色の染色をこのクサギの実で染めたと御発言! のっけから絶妙。クサギとは,昔の命名。葉の匂いは, 臭いどころか, むしろ, ピーナツバターの様で, おいしそう。クサギの花には各種のアゲハが集まります。お隣にはカラスザンショウ。クサギの蜜を吸ったアゲハはお隣に卵を産み, お隣が幼虫を育てます。今の時節には非常に多くのアゲハの蛹が春を待っています。

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ヤマフジは春に見事。ヤマフジの実は熟すのに2年も要します。花が咲く前の, まだ寒い時に実が弾け飛び, その音でびっくりするほど。





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コナラの根返り: 樹木は大きくなると根が岩盤や土壌をわしづかみして安定します。 が, 大きくなりすぎ限度を超えると倒れます。木が薪炭用だった昔には根返りはありません。が, 今や薪炭のためには刈られず, 大きくなりすぎ, 台風などで根返りするのです。


 

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まだ現役の水道管が土表に露出: 小網代が居住区域に指定された70年代に埋設されました。その後, 蔽っていた土砂が流出。保全では, 川に杭を打ち横木を通して流れを止め, 土砂を溜める工事が施されました。溜まった土砂は段々と水道管を埋めます。また, 水が流れ出てしまう前に長く溜め置く事により地下水位が上がり, 湿地化できます。

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この辺から下流には田圃があり, 太陽の光が当たっていました。ガイドさん曰く, 保全時には, 水の流れに手を入れ, 湿地に太陽の光が当たる様にする事だとの事。川底の藻にも太陽の恵みが行く様に, 場所によっては樹木を伐採処理します。
 


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第1合流点近くのアスカイノデ: 芽吹きの状態が猪の手に似ているのでイノデという名の大変大振りのシダ。潮風が大好きなので小網代の森には最適。晩秋の今は深緑色。春には芽が柔らかな萌黄色に伸び, 大変きれい。崖辺りにアスカイノデが群生しており恐竜も居るよう。この崖の保全前の笹だらけの乾いた所の名残がまだ残っています。

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小柄なセイタカアワダチソウ: 外来種なので根絶せねばならないという人がいます。が, 花が極めて少ない時にも花を咲かせ, チョウなどの蜜を吸う昆虫にとっては大変貴重。現にアサギマダラはここで蜜を吸い栄養を付けて南に渡ります。
 



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 第2合流点あたり: トンボのように目近に川面を見て歩きます。トンボのオスは強いほど良い場所に陣取り, これ見よがしに自分の姿を見せつけるのでメスが寄ってくるのです。
 
ハンノキ: 田圃を作る湿地で, 地面もしっかりしている場所はハンノキも大好き。初夏にハンノキと共に生きるミドリシジミを観る事が出来ます。


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セキショウ: 昔は土手の形を保つために植えられました。ここでは川の流れにバイパスを設け, 従来よりも水が長く川に留まる様な治水をしました。これで地下水位があがり湿地化できます。このバイパス用の小川の流れをセキショウが保ちます。
 



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カラスウリ: 橙色に実ったカラスウリ。花は, 夏の日没から25分後に咲きます。アカテガ二の放仔も大潮の晩, 日没から25分前後。アカテガニのオスが遺伝子を残す戦略についてもお聞きし, 参加者一同, オスも大変と同情。アカテガニは水が嫌いなので, 放仔の時, お母さんカニはおなかをあまり海に付けないでお産をするとの事。

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第3合流点あたり: 地面はぐちゃぐちゃ。普通の木は根を固定できず大きくなりません。が, ジャヤナギは大きくなって倒れると, その場所から新しい若木が育ちます。倒れた幹はヘビが伏せるように見えるのでこの名がついています。また, 強風で折れた小枝は遠くに飛ばされても着地した場所で成長します。雌雄異株で本邦では雌株だけとのことでした。




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ヤナギと来ればホタル。暗くなってからではなく, 夕方の日暮れ頃から光りはじめます。保全活動以前には存在するのかどうか危ぶまれていたホタルも今や回復したとの事。
 ここでも水道菅が剥き出し。水の流れにバイパスを作り治水。地下水位があがると笹は自然と枯れます。その後, 湿った地面が好きな数珠玉やガマが生えてきます。




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第4合流点はヤナギテラス: この北には保全中の大きな谷があり, 水量も多そう。ここから先の木道周囲には, アシ=ヨシ, オギやススキ等のイネ科植物が広がり, 金色の草紅葉。まさに日本の秋!







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スズメが多く群がっており昼食に夢中で, 逃げて行かず, スズメにとっても恵の秋!
オギの漢字は, ケモノ編に火。英名では ”Amur silver-grass” すなわち “アムール河の銀色草”。詩を感じます。

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鉄バクテリア: ヨシやイネの根の周囲など水の移動量が少ない所には, 鉄バクテリアがいます。落葉を基にした腐葉土はフルボ酸を作り鉄と化合して海へ鉄を供給し, 植物/植物性プランクトンの生長を促します。鉄バクテリアが繁殖しているという事は, 生物が利用可能な鉄イオンが豊富な証
拠です。





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オオシマザクラ: 田植などの共同作業が始まる前のお花見は一致団結を図るのに欠かせません。保全作業が始まる前には非常に高く伸びた笹に埋もれていたオオシマザクラは, 昨年あたりからお花見ができるようになりました。
 






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意図せずにできた池: 自然に池ができた, と思っていたら, いつの間にか, カエルも棲み始め, オタマジャクシも棲むようになったとの事。自然には, 本来, 大きな回復力があり, 保全活動はそのお手伝いをしているとの事。
エノキテラスを通りかかる: エノキはしっかりしていて湿った土地でも倒れないため, 昔は他の土地との境に植えました。このエノキも, 保全作業以前には3mもの高さの笹に覆われていたとの事。 



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 眺望テラス: 浦の川が小網代湾に流れ注ぐ第5合流点の河口が見えます。近くの石橋は, 現在は通れません。平成23年3月11日の東日本大震災後の津波で大規模に破壊され, その後も台風時の高潮に襲われました。前後の接続部や土台は浸食に耐えられず, 止む無く閉鎖となったとの事。ところで, 河口に注ぐ浦の川の川幅が少し広い感じがします。南側の谷からの小川がいつの間にか合流していたのです。
 




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枯れかかりのガマ: 因幡の白兎は, 皮を剥かれた肌にガマの穂の枯れた“穂綿”を付けたのではありません。オシベの花粉(=穂黄)を天瓜粉の様に肌に振ったのです。
 







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河口干潟: まだ満潮が続いているような干潟。カニは, 今は繁殖日も終わり, 干潟の土の穴倉で冬眠準備。自分たちは求愛ダンスをパネルで見るだけですが, 来年もまた見せてください。
 ハマダイコン: 大震災後の津波で小網代の森も大被害。ハマダイコンが発生したのはその津波がもたらした大量の種子。津波の被害で回復を待つ植生もあればこのように新たに発生した植生もあります。 



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ハマカンゾウ: 夏に黄橙色の花が見事でしたが, 今は静か。この辺は砂地で昔は畑。その頃のハマカンゾウは大震災後の津波や盗掘により数十株にまで減少しました。 が, 民間企業が自社の敷地で育て,昨年, 900株がこの地に戻されました。現在, ハマカンゾウを更に増やすべくセイタカアワダチソウの駆除から始まり笹を駆除しようとしているところです。すなわち, セイタカのっぽ過ぎる群生はハマカンゾウとは共生できず3週間前に, ある民間企業の主催で多くの人により駆除されました。またこの辺は湿地化できず, 笹の地下茎の駆除には更に数年の人力を要します。数年後の夏にはこのあたり一帯, 多くのハマカンゾウが咲くようになりましよう。
 

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エノキテラス: ガイドさんは, 何枚かのパネルを見て小網代の森の保全/整備の歴史や保全活動が必要な理由を御説明。
小網代の森は70ha。尾瀬のわずか0.8%。広大ではありません。
小網代の森は, つい半世紀前までは人が田畑や薪炭等に何百年も利用した里山。人が利用しなくなった後, 暫くは三浦の原風景に近かったのです。が, 数十年の間, 樹木は高く日陰が多くなりすぎ, また, 川は自らを浸食し水は溜まることなく流れ出るようになってしまいました。結果, 地下水位が低下し乾燥化が進み, 笹がはびこるようになりました。
わずか7年前の平成23年から文字通りの”超特急”自然回復活動が始まり, 3年後の平成26年に一般公開となりました。現在は多様な生物が棲めるようにと, 光当たる湿地へ復元する環境に回復させつつある途上です。
同時に毎月第3日曜のボランテイアウオークとトラスト運動についての説明がありました。 

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昼食後, 自分達で保全区域ではない北の尾根を昇り, 保全作業をしない限り地面は乾き笹だけとなり緑の下草は生えてはこない事を確認。
帰路途中の白髭神社までは昼食前とは全く異なる植生なので新発見をしつつバス停に到着したらもうすぐ3時。実にゆっくりとした散策でした。
 
(文責: 紺谷(7期修了))

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