H30専科コース 第5回「ムササビと人の暮らし」
実施日:平成30年9月20日(木)
会場:高尾599ミュージアム・高尾山
講師:株式会社 自然環境教育センター インタープリター 村上
友和 先生
テーマ:高尾山の野生生物と自然信仰
参加者:受講者11名 サポートスタッフ1名
年度の予定では剥製師の高橋章氏に、剥製作成の苦労話や動物への思いを語って頂く予定でしたが、残念なことに高橋さんが体調不良で入院され今年の講座は担当できなくなりました。そこで、高尾山ビジターセンターで解説をしておられる村上さんにムササビのお話をしていただくことになりました。
高尾山ケーブルカー清滝駅近くの「高尾599ミュージアム」で、まずは講義。
ムササビの大きさをひもを使って予想してみます。
皆さん結構いい感じです。ムササビの大きさは新聞紙の半分大。
モモンガ―はハガキ2枚分の大きさです。随分と大きさが違います。
ムササビのお話を少しと、
巣から飛び立つムササビの動画を見せていただいたところで、
村上さんから三つの質問
Q1ムササビは羽ばたくか?
Q2 ムササビは肉食か?草食か?
Q3 ムササビは、日中どこで何をしているのか?
この質問の答えを求めて、ケーブルカーに乗って高尾山に、薬王院を目指します。
まず、ムササビの食痕(食べ後)探し、参加者にらしいものを拾ってきてもらいます。
回答はカヤの実の殻。ムササビは草食で、春は花(サクラ・ウワミズザクラ・ツバキ)、夏は葉を2つに折ってかじり、秋には木の実(ドングリなど)を食べていて、食痕を沢山落としているとのことです。
巣は大きな木の穴。自分で穴を開けることができず、自然にあいた穴やキツツキの開けた穴を使うとのこと。穴から出てくるのは、日が暮れて30分後。夜行性で夜に活動しています。昼間は穴の中で寝ています。稀に尻尾を穴から出して寝ていることもあるとか(見てみたい!)
ムササビの飛び方は滑空。高いところから飛び立ち低い幹に、そして幹を登ってまた滑空し移動します。決して地面を歩くことはないのです。
薬王院には、天狗の像があり信仰されています。この天狗のルーツがムササビといわれているようです。暗がりの樹上でごそごそと音がして、生き物の気配がする。しかし姿は見えず得たいが知れない。そんな経験が空想の天狗を生み出したようです。
高尾山にムササビが棲んでいる理由として、高尾山の信仰が大きく影響していそうです。大きな石碑に「殺生禁断」とあり、植物を含めて生き物を殺さない教えがあり、その結果現在1600種の植物、5000種の昆虫が生息しているとのことです。植物が多いことはムササビにとって食べ物が多いこと、巨木が多くあることは巣穴が沢山あるということで、ムササビが生きていくには良好な環境が整っているのです。
ムササビの姿を見ることができなかったのは残念ですが、ムササビの気配を感じることができ、高尾山の豊かな自然に触れた1日でした。